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白馬八方池

 

白馬八方尾根は標高1800メートルまでは、ゴンドラとリフトを乗り継いで行くことができる。 

その先は、トレッキングコースだが、スタート地点の標高がある程度高いので、初心者でも比較的登りやすい。

目指すは標高2060メートルの八方池だ。

 

夏の白馬連山は、頂上付近は雲がかかることが多いらしく、標高が高くなればなるほど完全な曇天で、湖面は見えないかもしれないと少し諦めながら歩いていた。

 

八方ケルンに到着し、ゴールの八方池も間近だと思うと、疲れていた気持ちも吹っ飛び、足取りも軽くなる。

池に向かう最後の下りにさしかかると、 

なにやらところどころ雲が切れ始め、うっすら青い空が透け始めた。

雲の隙間から差し込む光線で白馬大雪渓が反射板のように目に眩しい。

池に到着すると間もなく、雲たちの動きは更に加速し、静かな湖面には、刻々と変化する雲のダイナミックな姿が映し出された。 

 

自然の大きさと人間の小ささの対比の中で、興奮と開放感と心細さを同時に感じる。

 

数分間続いた景色は、まるで幻のようにその後雲に閉ざされてしまった。

 

 

東京に戻ってきた今も、写真を見るとあの時の壮大な自然の美しさ、光の強さを思い出します。

 

 

2023.9.2