· 

残るモノ

 

磁器のマグカップはとても強い。

 

華奢で可憐なティーカップと比べると、厚みもあり、取り扱いに気を使うこともないですし、飲み物もたっぷり入るので、普段使いに適しています。

 

だからこそ、作品を描く際、カジュアルなものであるとはいえ、素材として残るモノであることを意識します。

 

大正生まれの祖母の作った、モダンで可愛らしい温度計       
大正生まれの祖母の作った、モダンで可愛らしい温度計       

亡き祖母は趣味人で、いろんなものを手作りする人でした。

どれも丁寧でセンスがよく、私は心の中でいつも尊敬していました。

そんな彼女の趣味の一つが木彫で、木という素材もずっと残るモノです。

 

彼女の作った木彫りの姿見や温度計などの作品は、何度となく引っ越ししようとも、断捨離をしようとも、いつもくぐりぬけ、ずっと一緒にいます。

 

祖母が作ったモノだからというのもあるけれど

素敵な作品だからというのが根底にあります。

 

素材の価値に、作品の魅力が重なると

本人が亡くなった後にも作品は残ります。

 

身近な祖母の作品と一緒に暮らしていると

自分も絵を描く時に、自然と身がひきしまります。

『わたしも、大切にされるものを作りたいな』と・・・